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更新日:2026年5月28日

コラム
Column

2026.05.28

無痛分娩は出血量が増えるって本当?統計データから見る出血リスクと、分娩前に知っておきたいポイント

「無痛分娩に興味があるけれど、ネットで『出血が多くなる』という体験談を見て不安になった」という方は少なくありません。痛みを和らげてリラックスしてお産に臨めるのが無痛分娩の魅力ですが、母体の安全性は重要なポイントです。

この記事では、無痛分娩と自然分娩の出血量の違いに関する研究データや、リスクを抑えるための「病院選びのポイント」について客観的に解説します。母子ともの安全に配慮したお産のための判断材料としてお役立てください。

【この記事で分かること】

  • 統計データで見る無痛分娩と自然分娩の出血量の差と、その数値の医学的な捉え方
  • 無痛分娩で出血量が増えやすくなるメカニズムと、麻酔のコントロールでリスクを軽減できる理由
  • 出血リスクを抑えるために確認すべき病院選びの3つのチェックポイント

【データ検証】無痛分娩だと出血量は増えるのか?

「無痛分娩にすると出血多量になる」という噂は本当なのでしょうか。まずは、報告されている傾向を確認していきましょう。

自然分娩と無痛分娩の出血量の比較データ

産婦人科の領域において、経腟分娩(通常の産道を通るお産)で出血量が500mlを超えた場合を「異常出血(多量出血)」と定義しています。では、実際の出血量にはどのような違いがあるのでしょうか。

国内の地域周産期母子医療センターで行われた研究データによると、分娩方法による出血量の中央値は以下のようになっています。

分娩方法 出血量(中央値) 吸引分娩の実施率
自然分娩 436g 20%
無痛分娩 508g 40%

出典・参考:地域周産期母子医療センターにおける無痛分娩の現状と課題

このデータから分かる通り、統計上は無痛分娩のほうが出血量がやや多くなる傾向にあります。その差はおよそ70ml程度です。

70ml増えると聞くと怖く感じるかもしれませんが、これはコップ半分程度の量です。500mlを超えると異常出血に分類されますが、この数値になったからといって直ちに緊急事態(輸血が必要など)となるわけではなく、母体のバイタルサイン等を含めて総合的に医師が状態を判断します。

出血量が増えやすいと言われる医学的な理由

では、なぜ無痛分娩だと出血量が増えやすいのでしょうか。その理由は、吸引分娩や鉗子(かんし)分娩の頻度が増えることにあります。

無痛分娩で麻酔を使用すると、痛みが取れると同時に骨盤底筋群がリラックスし弛緩します。これにより、赤ちゃんが降りてきた時に自然といきみたいと感じる反射(ファーガソン反射)が弱くなる傾向があります。

いきむ力が弱まることで、赤ちゃんが産道を通り抜けるのに時間がかかる遷延(せんえん)分娩になりやすくなります。お産が長引き、母体や赤ちゃんへの負担が大きくなると判断された場合、医師は器械を使って赤ちゃんを引っ張り出す「吸引分娩」や「鉗子分娩」を選択します。

上記の表でも、無痛分娩の器械分娩率が上がることがわかります。

これらの器械を使用する際、物理的な摩擦や圧力がかかるため、どうしても会陰(えいん)や産道(腟壁)に傷がつきやすくなります。結果として、「麻酔の影響でお産が長引く」→「器械を使う」→「産道に傷がつき出血が加算される」というメカニズムで、全体の出血量が増加するのです。

無痛分娩の出血リスクは「麻酔のコントロール」で軽減できる

ここまでの解説で「やはり無痛分娩はリスクが高いのでは」と感じた方もいるかもしれません。しかし、医療側の技術と管理体制により、リスクの低減を期待することはできます。

陣痛を弱めすぎない「適切な麻酔量」の重要性

出血の引き金となる吸引分娩を回避するためには、麻酔の量をいかに適切にコントロールするかが鍵となります。

  • 麻酔が強すぎる場合: 陣痛が遠のき、いきむ力が失われ、吸引分娩のリスクが上がります。
  • 麻酔が弱すぎる場合: 痛みを抑えきれず、無痛分娩のメリットが得られません。

出血リスクを下げるには、「痛みはしっかり抑えつつ、お産に必要な『いきむ力』は残す」という絶妙なバランスを保つ必要があります。お産の進行状況は刻一刻と変化するため、一度麻酔を入れて終わりではなく、経過を見ながらこまめに麻酔薬を微調整するきめ細やかな管理体制が必要不可欠なのです。

万が一の異常出血時に求められる医療体制

お産において、子宮の収縮が悪くて血が止まらなくなる弛緩出血などのトラブルは、無痛分娩・自然分娩に関わらず一定の確率で発生します。

万が一異常出血が起きた際、母体の安全を左右するのは「いかに早く止血処置や輸液を行えるか」という初動のスピードです。子宮収縮剤の投与やバルーンによる圧迫止血など、迅速な対応を取るためには、お産の進行を見るだけでなく、母体の全身状態を監視・管理できる専門のスタッフがその場に揃っているチーム医療の体制が求められます。

リスクを抑える病院選びの3つのチェックポイント

無痛分娩の安全性は「どこで産むか」に大きく左右されます。リスクを抑え、安心してお産に臨むために、以下の3つのポイントを基準に病院を選びましょう。

1. 麻酔を専門的に管理する医師が配置されているか

お産を安全に進めるためには、「役割分担」が非常に重要です。

赤ちゃんの状態を確認し、お産の進行を管理する産科医と、母体の血圧や呼吸状態、麻酔の効き具合を細かく調整する麻酔科医は、本来求められる役割が異なります。

産科救急に長けた産科医や麻酔科医、助産師・看護師など「麻酔管理に集中できる医師」がチーム内にいる施設であれば、安全管理を行いやすい環境といえます。

2. 夜間や休日でも無痛分娩に対応できるか

陣痛はいつ始まるか誰にも予測できません。夜中や休日に突然お産が進行することも多々あります。

施設によっては無痛分娩の対応時間を制限している場合があります。その場合、夜間に陣痛が来ると麻酔の追加や調整ができず、結果として痛みを我慢することになったり、自然分娩に切り替わったりする可能性があります。

24時間体制で麻酔のできる医師が待機している施設であれば、時間帯を問わず麻酔管理に対応できます。

3. 緊急時のバックアップ体制(人員・設備)が整っているか

お産は何が起こるか分かりません。万が一の大量出血に備えた緊急輸血の体制や、速やかに帝王切開に切り替えられる設備、そして助産師や看護師を含めたチーム医療が機能しているかどうかが重要です。

病院選びの一つの指標として、厚生労働省の要請を受けて設立されたJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)の登録施設であるかどうかも参考になります。JALAは無痛分娩の安全な提供体制を整備することを目的としており、登録施設は一定の安全基準や情報公開の要件を満たしています。

まとめ:正しい知識を持って、リスクを抑えたお産を

無痛分娩は、麻酔の影響で吸引分娩などになりやすく、結果として自然分娩よりも出血量がやや増える傾向にあるのは事実です。しかし、そのリスクは「誰が、どのような体制で麻酔を管理し、お産をサポートするか」によって大きく変わります。

「痛みへの不安」も「リスクへの不安」も解消し、リラックスして赤ちゃんを迎えるためには、十分な人員と設備が整った医療機関を選ぶことが何より大切です。

ENAレディースクリニックでは、患者様がリラックスして出産に臨めるよう、24時間、麻酔ができる体制を整えています。産科医・麻酔科医・助産師がチームとなり、痛みのコントロールから万が一の緊急対応まで、安全面を重視した診療体制のもとで無痛分娩を行っています。

「無痛分娩のリスクが気になる」「自分の場合はどうなるのか知りたい」など、少しでも不安なことがあれば、ぜひ一度当院へご相談ください。母子ともに安全で、納得のいくお産になるよう全力でサポートいたします。

当院の無痛分娩について

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