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更新日:2026年10月16日

コラム
Column

2026.10.16

無痛分娩の時間は平均どれくらい?自然分娩と比べて長くなるのかを解説

お産にかかる時間の平均は、初産の方で12〜14時間、経産の方で6〜7時間程度が目安です。無痛分娩を選んだ場合でも、この全体の長さが大きく変わるわけではありません。子宮口が開いてから赤ちゃんが生まれるまでの「分娩第2期」は長くなる傾向にあるとされています。

そのため、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会がまとめる「産婦人科診療ガイドライン産科編2026」では、無痛分娩の場合、お産が長引いているかを判断する基準を一律には決めにくいとしています。

この記事では、お産の区間ごとの目安時間と、無痛分娩による影響がどこにどれだけ及ぶのかを、日本産科婦人科学会や日本産科麻酔学会が公開している情報をもとに整理します。

【この記事で分かること】

  • 分娩第1期・第2期・第3期それぞれの目安時間と、無痛分娩で延長が議論されている区間
  • 「第2期が長くなる」という情報の出どころと、研究結果が割れている実態
  • 吸引分娩・帝王切開になる確率への影響と、施設の体制によって変わる「痛みを我慢する時間」

お産にかかる時間の平均は初産で12〜14時間、経産で6〜7時間

お産は経過によって3つの区間に分けられており、区間ごとに目安の時間があります。分娩第1期は、陣痛が始まってから子宮口が10cmまで開くまでで、初産の方で10〜12時間、経産の方で5〜6時間です。

分娩第2期は、子宮口が開いてから赤ちゃんが生まれるまでで、初産の方で2時間、経産の方で1時間が目安になります。分娩第3期は、赤ちゃんが生まれてから胎盤が出て分娩が終わるまでで、いずれの場合も15〜30分程度とされています。

時間の大半を占めるのは分娩第1期です。お産が長くなるか短くなるかは、子宮口が開ききるまでにどれだけかかるかが大きく影響します。

無痛分娩で長くなる可能性があるのは、この分娩第1期ではなく分娩第2期です。

無痛分娩の分娩時間は平均でどれくらい延びる?

無痛分娩が長引いているかを判断する目安は、1時間ほど長く見込まれています。
なお無痛分娩では、背中から細い管を入れて麻酔薬を流す「硬膜外鎮痛」という方法が一般的で、以下で紹介する報告もこの方法を指しています。

日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会がまとめる「産婦人科診療ガイドライン産科編2026」では、分娩第2期が長引いている(遷延)と判断する一般的な基準を、所要時間が初産の方で3時間以上、経産の方で2時間以上としています。

そのうえで、無痛分娩では分娩第2期が長くなりやすく、一律の基準を定めるのは難しいとしています。あわせて、米国産婦人科学会(ACOG)が初産の方で3時間、経産の方で2時間進まない場合を遷延と判断し、無痛分娩ではいずれも1時間を上乗せするのが目安としていることも紹介されています。

つまりこの1時間は、想定外の事態として扱われているのではなく、あらかじめ管理の範囲内に置かれている時間です。「陣痛が弱まってお産が止まってしまう」というイメージとは、性質が異なります。

延びる理由も、陣痛が弱くなるという一言では説明しきれません。麻酔を使わない分娩では、赤ちゃんが生まれるかなり前の段階から痛みによる反射的な子宮収縮が起こるため、呼吸法でいきみを逃すように指導されます。硬膜外鎮痛ではこの反射的な収縮が起こらず、いきむべき段階になってから子宮の収縮に合わせて自分でいきむ形になります。この進み方の違いが、第2期の長さに表れると考えられています。

無痛分娩で分娩が長引くと、吸引分娩や帝王切開になりやすい?

器具を使って赤ちゃんの娩出を助ける吸引分娩・鉗子分娩については確率が上がるとする報告がありますが、帝王切開は率が上がらず、むしろ低下したとする国内研究もあります。「長引く」から「帝王切開」まで一続きにつながるわけではありません。

吸引・鉗子分娩|確率が上がるとの報告と、上がらないとの報告

日本で約5,000人の妊婦を対象に行われた研究では、硬膜外鎮痛を行うことにより器械分娩(吸引分娩・鉗子分娩)の確率が上がり、なかでも高齢出産・初産の方でリスクが高かったと報告されています。
一方で、近年多くの施設で行われている低濃度の局所麻酔薬にオピオイドを加えて硬膜外投与する方法では、器械分娩率は上がらなかったという報告も複数あります。

参照元:Q15. 硬膜外鎮痛はお産に影響するでしょうか?(日本産科麻酔学会)

器械分娩は、お産の最後の段階で赤ちゃんの頭が出るのを助けるために行われます。分娩第2期がとても長くなった場合や、モニターで赤ちゃんが苦しそうなサインが出た場合、赤ちゃんが産道を降りてくるときの進み方に問題がある場合などが対象になります。避けるべき失敗ではなく、母子の安全のために選ばれる手段にあたります。

無痛分娩のメリットとデメリットを整理して比べたい方は、無痛分娩のメリット・デメリットと後悔しない施設選びもあわせてご覧ください。年齢による違いが気になる方は、高齢出産で無痛分娩を選ぶメリットとリスクとは?病院選びのポイントで詳しく扱っています。

帝王切開率は上がらず、低下したとする国内研究も

帝王切開については、分娩時間や器械分娩とは異なる結果が出ています。先の日本の約5,000人規模の研究では、理由は不明としながらも、硬膜外鎮痛を行うことにより帝王切開率は低下したと報告されています。複数の研究をまとめて分析した報告でも、硬膜外鎮痛を受けた妊婦と受けなかった妊婦とで帝王切開率に差はなかったという結果が出ています。

陣痛促進剤についても、硬膜外鎮痛を行った場合にオキシトシンの点滴を使用することが多くなるとされる一方、必要となる率に差はなかったとする報告もあります。

参照元:Q15. 硬膜外鎮痛はお産に影響するでしょうか?(日本産科麻酔学会)

長引くことと帝王切開になることは、切り離して考えて問題ないでしょう。

確認したいのは分娩時間より、痛みを我慢する時間の長さ

分娩第2期が1時間延びたとしても、その時間の痛みが抑えられているなら、体感はまったく違うものになります。無痛分娩を検討している方が実際に確認したいのは、分娩全体の長さよりも、痛みを我慢する時間がどれだけ短く済むかではないでしょうか。

そしてこの時間は、施設の体制によって変わります。日本産科麻酔学会は、自然に陣痛が来てお腹が痛くなったときに硬膜外無痛分娩を始められることが理想としながら、現在の日本では安全に365日24時間の硬膜外無痛分娩に対応できる体制が整っている施設は限られると説明しています。そのため多くの施設が、自院で実施できる時間帯や曜日に限定して、計画的に分娩を取り扱っているとされています。

参照元:Q8. 「無痛分娩を希望するなら計画分娩(誘発分娩)になります」といわれました。(日本産科麻酔学会)

なお、日本の無痛分娩は2018年に全分娩の5.2%でしたが、2024年には13.8%へと増えています。2024年時点で分娩施設は全国に1,948施設あり、そのうち787施設が無痛分娩を取り扱っています。

参照元:Q7. 日本の現状、無痛分娩実施施設について(日本産科麻酔学会)

施設を検討する際は、次のような点を確認しておくと、実際に痛みと向き合う時間を見積もりやすくなります。

  • 計画無痛分娩のみか、自然に陣痛が来てからの無痛分娩(オンデマンド無痛分娩)にも対応しているか
  • 夜間や休日に陣痛が来た場合、無痛分娩を実施できるか
  • 計画していた日より前に陣痛が来た場合、どのような対応になるか

同じ「無痛分娩に対応しています」という表記でも、この3点への答えは施設ごとに異なります。分娩予約の前に確認しておきたい部分です。

陣痛が来たときに麻酔を始められる|ENAレディースクリニックの24時間365日体制

「無痛分娩を選んだのに、麻酔を始めてもらえるまで痛みを我慢し続けることになるのではないか」という心配をお持ちの方に、ENAレディースクリニックの体制をご紹介します。
ENAレディースクリニックでは、常勤の麻酔科医・産科医が24時間365日、いつでも無痛分娩に対応しています。

分娩の方法は、あらかじめ日程を決める計画無痛分娩と、陣痛が来てから麻酔を開始するオンデマンド無痛分娩のどちらも選んでいただけます。計画していた日より前に陣痛が来た場合でも、無痛分娩で対応可能。麻酔を開始するタイミングは、分娩の進行状況とご本人のご希望に合わせて決めています。

無痛分娩の実績は、2026年1月から6月までで無痛経腟分娩294件(全分娩427件)、2025年は1年間で368件(全分娩676件)です。2023年の47件(全分娩319件)から、無痛分娩を選ばれる方が年々増えています。

また、無痛分娩説明会を毎週水曜日に開催しています。分娩の進み方や麻酔のタイミングについて、ご自身の状況に沿った疑問をその場で相談していただけます。
無痛分娩の方法や費用、説明会の日程は無痛分娩ページにまとめています。ご検討中の方は、まずはこちらをご覧ください。

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