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更新日:2026年10月16日

コラム
Column

2026.10.16

無痛分娩で麻酔が効かないことはある?痛みが残る理由と、事前に確認したいこと

無痛分娩の麻酔の効き方を左右するのは、体質の個人差だけではありません。麻酔を始めるタイミングや、痛みが変わったときに追加の手が打たれるかどうかも関わってきます。

そもそも「麻酔が効かなかった」と語られる状態には、麻酔を始める前に耐えていた陣痛、薬を入れてから効き始めるまでの時間、いきむ力を残すために意図して残してある痛み、そして実際に効いていない状態が混ざっています。最初の3つは、麻酔がうまくいかなかったわけではありません。

この記事では、その切り分けと、出産前に確認しておきたいことを整理します。

【この記事で分かること】

  • 「麻酔が効かなかった」と語られる状態の内訳と、そのうち想定内のものはどれか
  • 効きが不十分なときに、分娩室でどのような対応が取られるのか
  • 出産前に伝えておくべきことと、施設に確認しておきたいこと

無痛分娩で「麻酔が効かなかった」と語られる状態には、いくつかの違いがある

無痛分娩の麻酔は、背中から細い管(カテーテル)を入れて薬を流し込む硬膜外鎮痛という方法が主流で、この記事もその方法を前提に説明します。そのうえで「麻酔が効かなかった」という言葉が指す状態は、いつ痛みを感じたのかで切り分けると整理できます。
麻酔を始める前なのか、薬を入れた直後なのか、効いている最中なのか、分娩の終盤なのかによって、その痛みの意味は変わってきます。

効いていても痛みが完全には消えない理由

無痛分娩で使う麻酔薬は、痛みを完全に取り除くのではなく、耐えられる範囲にコントロールすることを目指して調整されています。完全に痛みを取ろうとすると麻酔の作用が強く出すぎ、足がしびれたり動かしにくくなったりして、いきむことが難しくなるためです。

また、薬を入れてから効果が出るまでには30分ほどかかることがあり、この間に感じる痛みも、効いていないことを意味するものではありません。分娩の後半になると、陣痛そのものより赤ちゃんが下りてくる圧迫感や会陰部の痛みが前に出てきます。ここで感じる痛みも「効かなかった」と表現されやすい部分です。

実際に効いていない状態は、どう確認されるのか

麻酔が効いていない状態とは、カテーテルから薬は入っているのに、鎮痛の効果が得られていない状態を指します。麻酔の効き方に偏りがある、左右のどちらかだけ効いている、特定の部位に痛みが残る、といった形を取ることがあります。

この見極めは、分娩の経過のなかで繰り返し行われます。分娩が進むにつれて痛みの場所や強さが変化していくため、スタッフが適宜回診して対応することもあります。カテーテルを一度入れたら終わりという処置ではなく、経過を見ながら効き具合を確かめていく前提で組まれています。

無痛分娩の麻酔の効きが不十分なとき、分娩室では何が行われる?

麻酔の効きが足りないときはその場で薬を追加できます。それでも足りない場合には、カテーテル自体で調整する方法もあります。

痛みに合わせて薬を追加する仕組み

硬膜外鎮痛には、痛みを感じたときに本人がボタンを押して薬を追加できる方法があり、自己調節硬膜外鎮痛(PCEA)と呼ばれています。ボタンを押すと一定量の薬が入る仕組みで、操作そのものは難しくありません。

投与の間隔に制限がかかる設計になっているため、何度も押して入りすぎるということは起こりません。なお日本産科麻酔学会は、この仕組みを取り扱っていない施設もあると記載しています。施設ごとに違いがある部分にあたるため、事前に確認しておきましょう。

参照元:Q12. 自己調節硬膜外鎮痛とはなんですか?|日本産科麻酔学会

カテーテルの位置調整と入れ直し

薬を追加しても効きにくい場合には、カテーテルの位置を少し変えたり、入れ直したりする対応が取られることがあります。急いで鎮痛を得たい場面では、硬膜外麻酔に脊髄くも膜下麻酔を併用する方法が使われることもあります。
ただし位置調整や入れ直しを行っても、期待するほどの効果が得られない状態が続く場合があり、効かない可能性がゼロになるわけではありません。

無痛分娩の前に伝えておくべきことと、施設に確認しておきたいこと

出産前に伝えておくべきなのは、背中や腰の手術歴、腰のトラブル、血が固まりにくい体質、服用している薬やサプリメントでなどです。これらは硬膜外麻酔を行えるかどうかの判断に関わるため、妊婦健診や説明会の場で早めに共有しておくと、当日の対応がスムーズになります。

一方で、分娩の進行の速さやカテーテルの入り具合は、当日にならないと分かりません。出産の直前に麻酔を始める場合は、陣痛の痛みが強い時期にあたるためカテーテルがスムーズに入らないことや、出産までに麻酔の効果が十分に得られないことがあることも認識しておきましょう。

そのうえで、施設に確認しておきたいのは次の3点です。

  • 麻酔を担当するのは誰で、夜間や休日はどのような体制になっているか
  • 痛みに応じて薬を追加できる仕組みがあるか
  • 麻酔の効果が十分でなかった場合、費用の扱いはどうなるか

これらは施設によって異なり、公開されている情報だけでは分からないこともあります。分娩先を決める前であれば比較しながら聞けますが、決まったあとは説明会や妊婦健診の場に限られてきます。費用を含めて検討している段階であれば、この時期に聞いておくのが動きやすいでしょう。

24時間365日、麻酔科医常勤で無痛分娩に対応するENAレディースクリニック

ここまで見てきたとおり、痛みに応じた対応が実際に取られるかどうかは、その判断と処置ができる人がその場にいるかどうかに左右されます。ENAレディースクリニックでは、常勤の麻酔科医と産科医が24時間365日、無痛分娩に対応しています。夜間や休日に陣痛が始まった場合でも、体制が変わることはありません。

分娩の進め方も、妊娠39週前後からの計画無痛分娩と、陣痛が始まってから麻酔を開始するオンデマンド無痛分娩の両方から選んでいただけます。

当院で無痛分娩を選ばれる方は年々増えており、2025年は全分娩676件のうち368件、2026年は1月から6月までで全分娩427件のうち294件が無痛経腟分娩でした。

毎週水曜日に無痛分娩の説明会を開催しており、当日の流れや麻酔について直接お聞きいただけます。無痛分娩をご希望の方には事前のご参加をお願いしていますので、検討中の段階でもお気軽にお申し込みください。

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